ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

腹腔鏡下での膀胱結石摘出

目次


病態


犬の膀胱結石とは膀胱に結石が形成される病態です。
犬の膀胱内で形成される結石は成分によりいくつかの種類に分類されます。
代表的なものにはリン酸アンモニウムマグネシウム(通称ストラバイト)結石とシュウ酸カルシウム結石があり、膀胱内にできる結石の大部分をこの2種類が占めます。
膀胱の結石は排尿に伴い体外に出ていく事もありますが、出ていかない場合には結石が違和感となったり、膀胱に炎症を引き起こす事で膀胱炎の症状を表す可能性があります。
また、雄あるいは去勢済みの雄の犬では膀胱から体外への通り道である尿道が狭くて長い為に、結石が尿道に詰まり排尿ができなくなってしまうこともあります。



診断・治療


今回はストラバイト結石とシュウ酸カルシウム結石についてのみご説明いたします。
結石のミネラル組成を診断するには密度、形状、尿pH、尿沈渣の顕微鏡観察により推定される場合もありますが、通常ストラバイト結石は尿路感染に付随して起こる感染誘発性の事が多く、尿路感染の有無が重要になります。感染がある場合は再発防止のため感染のコントロールは重要になります。
シュウ酸カルシウム結石を溶かすことは基本的に難しいのですが、ストラバイト結石はフードにより尿のpHをアルカリ性から中性や弱酸性にすることで溶かすことができます。
シュウ酸カルシウム結石は内科療法での治療が基本的には難しいため、必要に応じて外科手術での摘出が適応となります。
当院では一般的に行われている腹部切開による方法に加えてお腹に小さな数cm大の切開を加え、そこからカメラ付き内視鏡を用いて手術を行う腹腔鏡手術での摘出も行っております。利点としては通常の腹部切開による術式よりも侵襲性が低い事が挙げられます。また数多くの結石が形成された際にカメラで膀胱や尿道の中を観察することで結石を取り残さない、という利点もあります。
もし結石の手術でお悩みの方は是非一度ご相談ください。
                             
青矢印は膀胱内の結石を専用器具を用いて摘出している映像です。
上写真は大量の膀胱結石があったわんちゃんの映像です。
上写真はフレンチブルドッグの術創写真です。赤丸2箇所に小さな切開をします。



執筆担当:獣医師 西田 純平
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