ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

子犬の心臓病「動脈管開存症(PDA)」? 心臓から雑音が聞こえたら.....

目次


動脈開存症(PDA)について

動脈管開存症は、生まれつき認められる犬の心臓疾患の中でも、比較的多く発生する疾患です。
動脈管とは、胎児がお母さんのお腹の中にいる間に重要な血管です。
お腹にいる子犬は肺を使って呼吸をしないので、この血管を通して肺動脈から大動脈へ血液を送っています。
子犬が産まれた後は肺を使って呼吸をするようになるため、この動脈管は不要となり通常すぐに閉鎖します。
動脈管開存症では、この動脈管が出生後も残ったままになってしまいます。



動脈管開存症(PDA)の症状


初期では症状がないことが多い病気です。
しかし悪化すると、大動脈から肺動脈に多くの血液が流れ込むため肺の血管に負荷がかかります。
咳が出たり呼吸が苦しくなる肺高血圧症といった病態に移行します。
さらに進行すると、血液の流れが逆となり肺動脈から大動脈へ流れる右左短絡という状態となります。
酸素が入っていない静脈血が全身へ流れてしまうことで舌などの粘膜が青紫色になるチアノーゼになります。
放っておくと、60%程度が1年以内に死亡します



診断と治療


・診断
 聴診で心雑音(心基底部における連続性心雑音)が聴取されます。心臓超音波検査では肺動脈周辺でのモザイクパターンが認められます。
・治療
体重や動脈管の形状の分類によって、開胸手術やインターベンション治療を選択します。
① インターベンション治療
カテーテルを内股の動脈 (大腿動脈) から心臓まで侵入させ、コイルを動脈管に入れることで動脈管に栓をします。開胸手術と比較して侵襲が少ないことが特徴ですが、体重や動脈管の形状によっては適応とならないこともあります。
② 開胸手術
直接心臓にアプローチして動脈管を結紮します。インターベンション治療と比較すると侵襲は大きくなりますが、確実に結紮できるという利点もあります。
当院では、診断から治療、術後の経過観察まで一貫して行うことが可能です。
治療についてもその子に合わせた方法をご提案いたします。
また、他院からのご紹介についてもお受けできます。

いつでもご気軽にご相談ください。

執筆担当:獣医師 牛尾 俊之
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